加藤徹 『西太后』 中公新書ISBN:4121018125
讀了。面白い。西太后を中心としながらも、清朝のあらゆる文化に目がいきとどいている。専門的なコトを専門用語でかたくるしく説明するのはだれでもできるけど、それをどこまでかみくだいてわかりやすく書くことができるのか、ウデのみせどころ。
とくに気になったのは、《太子密建》の部分(57頁〜69頁參照)。これは皇帝の宮殿である乾正宮の「正大光明」の額の裏に、これぞと目にかなった人望・実力ある後継者を皇帝自身が紙に書き、次をになう皇帝をきめる制度である。雍正帝によって確立されたこの制度は、皇子同士(およびその親族)による後継者争いをふせぐ意味あいがつよいことはいうまでもないのだけど、本書には道光帝がしたためた詔勅と、それを収めていた木箱が写真で掲載されている(67頁上)。道光帝の《太子密建》のホンモノが残っているということは、これまで何度も聞いたことがあるのだけど、写真とはいえ、ホンモノをシカと眼にしたのはこれがはじめて(アカンやん)。しかも文字を判讀することができます(漢文のみ)。おもわず、写メールとっちゃった。興味のある方はぜひ一讀あれ!!