05年度書林雜記的ベスト

1、 鎌田慧  日本人の仕事 平凡社ISBN:4582705022
2 、谷沢永一  紙つぶて 文藝春秋ISBN:4163677607
3 、杉山隆男  兵士を追え 小学館ISBN:4093892032
4 、加藤徹   西太后 中公新書ISBN:4121018125
5 、永江朗   メディア異人列伝 晶文社ISBN:4794966415
6 、柳原和子 百万回の永訣 中央公論新社ISBN:4120036898
7 、佐野眞一  阿片王 新潮社、ISBN:4104369039
8 、Bウッドワード ディープスロート 文藝春秋ISBN:4163675809
9 、高木徹  戦争広告代理店 講談社文庫、ISBN:4062750961
10、 大塚将司 日経新聞の黒い霧  講談社ISBN:4062128551
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昨年度のベスト10です。▽《日本人の仕事》。ずっと欲しかったもの。やはり僕はインタビューものが好きなんです。つまらないものもあるけど、これだけ数がいると、讀んでいる途中で、曰く言い難し的ななにかがぽつんと浮かびあがってくる、日本版S・ターケル。▽《紙つぶて》。過去二度三度刊行されたものに更に手を加えるという、谷沢さんの學者としての矜持を感じる。▽《兵士を追え》。杉山さんの兵士シリーズ第三作。杉山さんにはずっとこういった長篇モノのノンフィクを書きつづけて欲しい。▽《西太后》は、昨年出た中國モノの中ではピカ一かと。講談社の中國の歴史シリーズが完結したのは喜ばしいが、玉石混交の感あり。▽《百万回の永訣》は、中央公論紙に連載されていた時から、ずっと愛讀。途中で連載が中断した時などは、《体調が悪いのかな?》とドキドキしたことを思いだす。ガンから復帰され、バシバシと作品を出される事を、切に願う。応援しています。▽《阿片王》は、佐野さんのライフワークと唱う作品。里見甫の周囲の人間関係だけでなく、戦後、里見がどんな気持ちで過ごしたのかという事にも言及して欲しかった。あるいは資料がなかったのか?▽《ディープスロート》は、ニクソン大統領のウォーターゲート事件の情報源となった人との対話録。ウッドワード記者は、マーク・フェルト氏の死後に情報源をあかすつもりだったのだが、マーク氏の親族が公表したため、緊急出版することに。本書には、ウッドワード記者とマーク氏との対話も収録されているのだが、マーク氏は高齢のため、當時のことをほとんど忘れていて、対話になっていない部分も。切ない。▽《戦争広告代理店》は数年前の講談社ノンフィク賞受賞作。メディアを自分の味方につけるのにはどうすればよいのか、有利に事をはこぶことができるのか、そのやり方が垣間見えておもしろい。著者の高木さんは、続く《大仏破壊》で大宅賞を受賞したのだけど、こっちの方がおもしろい。