気になる新刊

○門脇廣文 『文心雕龍の研究』創文社ISBN:4423192632
漢字文化圏における文藝批評・評論の著作は、梁・劉きょう(協の旁部分+思)の『文心雕龍』を以て嚆矢とする。漢字というものが、漢字によって書かれる文章というものが、どのようなものとして認識されていたのだろうか?興味は盡きない。これは買いです。
ちなみに、筑摩書房の世界古典文學全集25には、興膳宏氏の手により、『文心雕龍』の全文が訓譯されています。

『文心雕龍』は500年頃、劉キョウによって著わされた中国文学史上稀有な体系的文学理論の書である。儒道仏三思想の混在と思われがちな『文心雕龍』の、背後から支える一貫した論理とは何か。その根本的思考様式を、文学原論である冒頭五篇の検討を中心に解明、内容の充実よりも形式美を追求する六朝期の創作状況を批判した同時代人劉キョウの危機意識の根幹に、文章は現象世界同様に「道」が自ずと表れたものであるとの文章観があったことを描き出し、今後の研究がふまえるべき基礎理解を提供する、わが国初の本格的専著。

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