○ロバート・ダーントン 『禁じられたベストセラー』 新曜社ISBN:4788509342
ダーントンの新たな邦訳が刊行されていたことは、今回の上京まで、全然知らなかった。友人にその話をすると、即買してた。こういうのは、なかなか賣れるものではないだろうけど、出版に興味があるぼくとしては、やはり押さえておかねばならない一本。でもこのたびは財布と相談して買うのを見送る。
http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/4-7885-0934-2.htm

◆歴史を読むことの愉しみを満喫させてくれる◆
啓蒙思想フランス革命を準備した、というのはわかりやすい図式ですが、読まれない本が影響を与えるはずがないのも事実です。このような問題意から、奇跡的に残っていたヌーシャテル出版協会の膨大な資料群(カタログ、発注書、書簡、会計帳簿など)に分け入って、当時の人々が何を、どのように読んでいたかを、流通過程から明らかにします。著者・出版社・印刷所・書店・読者の具体的関係の解明から始まって、「哲学書」(啓蒙思想の本とポルノをまとめて)などの禁書、権力者への誹謗文書、パンフレットなどが「マントの下で」取引されて広まり、王権を冒涜することで革命の気分が醸成されていった過程を、まるで推理小説を読むように読み解きます。