気になる新刊

○岸辺成雄著 『唐代音楽の歴史的研究 楽制篇(上・下巻)』《覆刻》
和泉書院、定価23,210円(本体22,000円)

西はシルクロードを経由して「遠くイラン、インドの流を汲み、東は日本、朝鮮等に統を伝え、アジアにまたがる国際的音楽文化の中軸」(「楽制篇」自序)となった中国唐代の音楽は、東洋音楽史研究の第一人者岸辺成雄博士の生涯を貫く壮大な研究の主題であった。
一九六〇・六一年、楽制篇上下二冊、東京大学出版会より刊行、日本学士院賞受賞。楽理篇以下の諸篇に属する論考十八は一九三六年から六八年までの間に『史学雑誌』ほかに発表されている。しかし今日では刊本・論考ともに容易に接し得ない状況である。今般、はじめてその全容を上下巻二冊と続巻一冊に収め、全三冊として公刊する。

谷沢永一 『遊星群 時代を語る好書録 明治篇』和泉書院ISBN:4757602871

谷沢書誌学の本領ともいうべき、明治大正期のわけあり雑書の宝庫の扉が惜しげもなく開けられる。往時の世態人情の実際をつぶさに伝えて余すところのない「時代を語る好書録」の比類なき一大集成である。
人知れず息をひそめてきて今よみがえる遊星群の輝きを眼前にして、読者は固定観念や先入観をゆさぶられることの連続で、戦慄にも似た臨場感を満喫するに違いない。とこしえの資料価値を誇る「谷沢永一明治大正大雑書コレクション」の活用に心躍らせるもよし、面白そうな人物や味わい深い話題を探して人と書物の雑草園の散策を堪能するもまたよし。ここに勢揃いした遊星群のまばゆいばかりのきらめきは不滅であると信じて疑わない。

谷沢さんのものはまだ古本屋にはないようですね。
和泉書院: http://www.izumipb.co.jp/