今日の一文

 小林清市 『中国博物学の世界』

所收「虎豹を食う怪樹の話」295頁(農山漁村文化協会。ISBN:4540032275) 中国哲学の基本は注釈学である。一冊の原書を前にしたとき、中国哲学の徒の作業はつぎのような手順で進められる。まず、複数の版本をつきあわせることによって文字の異同や脱字、脱文…

 森銑三

・森銑三/柴田宵曲 『書物』所收「出版業者」 (岩波文庫緑153-1。36頁) 森銑三さんの著作、平凡社ライブラリーで出してほしい。 反町茂雄さんの一古書肆も出てるし。 出版界のみとは限らぬが、儲けさえすれば成功したのだという考え方は、あまりに浅まし…

 吉川幸次郎

・『吉川幸次郎講演集』 筑摩書房所收「事柄の学問と言葉の学問」434頁 ま、そういうわけで、史学をなさる方にはいちばんたくさんの本が入り用になるんですが、それとは反対に本のいらない学問もあります。それは最初に申したように、ぼくのやっているような…

川勝義雄 『中国人の歴史意識』 平凡社ライブラリー ISBN:4582760090 はっきり言おう。私は、貴族制から帰納されてくる豪族共同体論によって、從來の定式的な封建制論が再検討されることを期待しているのである。大胆に真意を申すなら、ヨーロッパ中世ないし…

 宮崎市定

・宮崎市定 『九品官人法の研究―科挙前史』 中公文庫 ISBN:4122029910 原来、記録にはその当時において余りに分かりきったことは書いてないものである。ところがある時代には分かりきったことが、次の時代には分かりきったことではなくなり、それが記録に書…