しばらくの間、書店でバイトをしていたこともあり、ぼくのまわりには本好きな友人がたくさんいる。彼らには、ぼくの読了本ベスト10を印刷した年賀状を毎年のように出させてもらっているのだけど、澁澤龍彦さんの旧蔵書を整理した『書物の宇宙誌―澁澤龍彦蔵書目録』をベスト1に選んだ友人がいた。蔵書とは、個人の全体を表すものではないが、そのヒトのある部分を形づくっているものである。高名な学者がなくなった際にも、いまやどこの大学図書館も寄贈本をうけいれるのに難色をしめすというようなことも聞いている。このような書誌學的著作にたいする学会からの評価はけっして高いとはいえないのがホントに残念なことだけど、この一冊は、澁澤さんを研究する際の必読書として何十年も重宝されることはまちがいない。ぼくとしては、こういうモノを第1位に選ぶヒトを友人に持ちえたことがなによりも嬉しい。誰か司馬遼太郎の蔵書目録、作ってくれないかな〜。
国書刊行会編 『書物の宇宙誌―澁澤龍彦蔵書目録』 国書刊行会編集部、ASIN:4336047510