漢文の訓讀法は、明治45年3月29日、官報に掲載された「漢文に關する文部省調査報告」が現在も基礎になっている。その中には、独特な讀み方をするものがいくつもある。独特な讀み方といえば〈文選讀み〉や〈左傳讀み〉などが有名だが、これらは、一冊の書物に對しての獨自な讀み方の典型であろう。
ここでは、そういうものではなく、語句として特殊な讀み方をするものを取り上げてみたい。
  加之(しかのみならず)/就中(なかんずく)/云爾(しかいふ)
  無寧(むしろ)/一任(さもあらばあれ)/聞説(きくならく)
次に、動詞を讀むときに、どういった送りがなをつけるのか、というもの。上の特殊なものは、暗記しておけば事は足りる。でも動詞をどのように讀むのかは、文脈の中からその意味にあった讀み方を選択しなければならないので、かなり手強い。てゆーか、難しい&分からん。たとえば、
 「色」には、「色づく」「色どる」「色めく」
 「近」には、「近ごろ」「近づく」「近よる」
などなど。これらの讀みを決定するのは、文脈によってしか判斷できない。
あと、特殊な讀み方をするものもいくつか。
 杖(杖つく)/桑(桑つむ)/額(額つく・相手に恭順の意を示すこと)
 草(草ぎる)/側(側だつ)/時(時めく)
などなど。結局、量を讀め、ということなのか!