ただいま。今回の購入本。あかん、ねむいわ。
○一橋文哉 『「赤報隊」の正体』 新潮文庫ISBN:4101426260
スタッズ・ターケル 『希望―行動する人々』 文春文庫、 ISBN:4167651505
佐高信 『わたしを変えた百冊の本』 講談社文庫、ISBN:4062750732
○近藤光男 『戦国策』 講談社学術文庫ISBN:4061597094
○小川裕夫編著 『日本全国路面電車の旅』 平凡社新書ISBN:4582852750
○岡本薫 『著作権の考え方』 岩波新書ISBN:4004308690
○宮本一夫 『中国の歴史01 神話から歴史へ』 講談社ISBN:4062740516
吾妻ひでお 『失踪日記』 イーストプレスISBN:4872575334
中島岳志 『中村屋のボース』 白水社ISBN:4560027781
○ジョージ・G・スピーロ 『ケプラー予想』 新潮社、ISBN:4105454013
綿井健陽 『リトルバーズ』 晶文社ISBN:4794966660

 司馬遼太郎の蔵書

 司馬遼太郎さんが96年に逝去されて間もなく10年。
 司馬さんの逝去後も、みどり夫人の回想録『司馬さんは夢の中』(中央公論新社)はいうまでもなく、『司馬遼太郎短編全集』(文藝春秋、全12卷)や『司馬遼太郎が考えたこと』(新潮社、全15卷)などといった著作が陸続と刊行され、國民作家の冠たるにふさわしい状況をきたしている。
 なかでも注目なのは、成田龍一氏や和田宏氏をはじめ、司馬さんに關する研究書がぼちぼちと刊行されていることである。泣く子もだまるしばりょー、である。以後もますますこういった書籍が刊行されるであろうことはまちがいない。
 成田氏の著作は、要するに、司馬さんの時代小説に書かれている歴史的事実の日時にたいし、その原典史料にあたってそれを分析することにより、所謂〈司馬史観〉に異義をとなえたものである。この批判というのも、根拠となる資料を提示した上での批判なのだから、充分に説得力があるし、司馬作品の愛讀者であるぼくが讀んでいても嫌悪感は全くない。
 司馬さんをほめたたえたものがほとんどの中にあって、このような批判的な著作がでてくるということは、司馬文學を學問領域としてとらえはじめたということなのだろう。文學部の日本文學科で「司馬文學」を卒論に選ぶ學生がどれくらいいるのか、はてまた〈司馬遼太郎〉で學位論文を取った院生がいるのかどうかなども、是非知りたいところだ。
 さて、安藤忠雄氏によって改築され01年11月にオープンした、東大阪市にある《司馬遼太郎記念館》は、以前もこの日記で書いたと思うが、是非とも訪れたい場所のひとつである。そこでぼくがみたいのは、地下一階から地上二階までの書棚に並べられた約2万冊あまりの書物、その一語につきる。司馬さんの資料好きは、本人によれば、

古本は、たいてい、東京の神田の「高山書店」という店で買うことにしている。たれそれのことを知りたいと思えば、電話をかけるだけで、高山は懸命に本をさがしてくれるからだ。そのかわり、短編などのばあい本代のほうが稿料よりもうわまわることがある。そういう話を知人にすると「商売でいえば、モトを切ったことになるな」と笑われるのだが、それではミもフタもない。考えてみればへんぺんたる私の作業よりも資料のほうがはるかに重い。私の小説は読みすてられてそれでしまいのものだが、資料は後代にまでのこってゆく。むしろ私は短編を書いて資料を買っている、と自分で考えている。それだけに、私にとって資料は大事な宝物のようなものだ。
(『司馬遼太郎が考えたこと2』145〜146頁より引用。新潮文庫

となるのだが、その傳でゆけば、記念館の蔵書は、まさしく《宝の山》である。と同時に、司馬遼太郎とその文學を研究するにあたっての、第一級の資料でもある。司馬さんは、小説の末尾に、参考文献を記さない。そのかわりに、話の途中でいきなり、「余談ながら」「ついでながら」「余話として」「以下、無用のことながら」などといった言葉のあとに、その小説を書くために参考とした書物を提示している。この部分を丹念にひろっていくだけでも充分なのではないのか、と思ったりもするのだが、今後の司馬遼太郎研究ということを考えると、やはり物足りない。
 記念館にある司馬氏の蔵書は、ホームページによると2万冊あまり。これに直筆原稿・手紙などを加味して、約3万冊と仮定してみる。基本は、著者・書名・版元・刊行年、だけの一番シンプルな棒目録。B5版・横書きの版式だと、紙一枚あたり100タイトルくらいか?三万冊なので、300枚=600ページ。これに目録には絶対必須の、五十音筆画順の書名・著者名索引をつけると、だいたい1000ページくらいか?単なる棒目録を作るだけなら、ファイルメーカーか何かに打ち込めばいいだけだから、半年もあれば余裕で出来ると思うけど、司馬さんの蔵書は、一冊ごとの図書整理番号もまだついていないと思うから、そっちの方が時間と予算がかかると思う。
 でも、司馬さんの蔵書目録がもし出来れば、學問的な価値は間違いなくあるし、商売的にも採算が取れると思うのだけどな。記念館で司馬遼太郎のオリジナルグッズ(時計・便箋・バンダナ)を販売するのもいいけど、蔵書目録とかを作成する企画はないのかな?絶対役にたつぞ!
 これまでに刊行された司馬さんの文献目録としては、管見のかぎりでは、
 ○松本勝久  『司馬遼太郎書誌研究文献目録』 勉誠出版ISBN:4585060529
がある位で、この本は未見だから何もいえないけど、たぶん、司馬さんの蔵書目録の類ではないと思う。
 ぼくの実家みたいな田舎の図書館にも司馬遼太郎全集がある位なのだから、そこの側にチョコンと置かせてもらうだけでも、モトは取れると思うのだが…?
 みなみなさま、司馬遼太郎の蔵書目録って、売れないですかね??是非、ご意見を!! 
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司馬遼太郎記念館 http://www.shibazaidan.or.jp/
○福田 みどり 『司馬さんは夢の中』 中央公論新社ISBN:4120035735
○『司馬遼太郎短篇全集』
http://www.bunshun.co.jp/book/shiba_tanpen/tanpen01.htm
○『司馬遼太郎が考えたこと』
http://www.shinchosha.co.jp/zenshu/shiba/ichiran.html
成田龍一 『司馬遼太郎の幕末・明治』 朝日選書、ISBN:402259828X
○和田宏 『司馬遼太郎という人』 文春新書、ISBN:4166604090
松本勝久  『司馬遼太郎書誌研究文献目録』 勉誠出版ISBN:4585060529